忘れもしない日の記憶。
私の誕生日は7/4なのだが
この日に祖父が亡くなった。
祖父は心臓病を患っていて数年前に名だたる医師がいる大学病院でペースメーカーを埋め込む手術を受けていた。
唐突だが私はこの祖父が大嫌いだった。
まだ年端もいかぬ私を殴る蹴るしてくる。
所謂、酒乱だ。
私の父には障害があって
かつて骨肉腫に冒され大腿骨が鉄パイプみたいな金属が入っていて、自由に歩く事が出来なかった。
それで大した就職も出来ず結婚をし子ども二人をもうけるも嫁は私が2歳の時に家を出てしまう。
私は2歳から祖父母に育てられる環境だったのだ。
酒を飲まないと無口な祖父
酒が入ると暴君になる祖父
私はそんな祖父が大嫌いでペースメーカーの点検で定期的に入院するわけ。
凄く安堵する時間が来る。
そんな心理が働いのかもしれない。
想いって時に説明の付かない力を発揮するものだ。
このまま帰ってこなければいいのに
7/3前日
祖父の見舞いの品に
大きなスイカを丸ごと1つ
私が運ばされた。
祖母は
『せっかくだから梅ちゃんにも少し食べさせて』
とすると祖父は
『こんなやつにやるのは勿体ない』
と半分残ったスイカをムシャムシャと正に狂ったように食べ始めた。
私の祖母は悲しそうに
『梅ちゃん明日はお誕生日だから帰りに○○ケーキ屋からケーキ持って帰ってね』
と、促し私は病院を後にした。
ケーキを受け取りワクワクで
こっそりケーキを覗いた。
チョコでコーティングされたタヌキを型どったような可愛いケーキが5つあった。
冷蔵庫に入れその日は過ぎ去る
夜、不思議な夢を見た。
祖母が私に
『梅ちゃん味噌汁の加減見て』
と言う。
私は迷わず鍋の前に行く
見たこともない大きな金色の鍋があり湯気が出ていた。
お玉を取り蓋を開ける。
数回掻き回したか?
そんな時に見る見る赤く染まり祖父の生首が浮き上がって来たのだ。
驚いてすぐに蓋を閉じる
そんな夢を見た。
朝起きると直ぐ様祖母に伝えると
『縁起でなか!そんな話滅多にするもんやなとよ!』
とげんこつをされた。
あまりにリアルで中々脳裏から離れなかった夢。
そんなやり取りから数時間後
呆気なく祖父は亡くなった。
ペースメーカーの点検入院だったにも関わらず心筋梗塞だった。
憔悴した祖母が私に
『梅ちゃんがあんな夢見るから死んじゃったじゃない。』
人はこれを予知夢と言うかもしれない。
が、私は違うと思っている。
なぜなら
私は祖父なんか死んじゃえと
6歳ながら本気で願っていた。
これは念の仕業じゃないかと。
祖父は寿命でたまたまそんな夢を見ただけなのかもしれない。
事実は現実より奇なりと申します。
あまり深く思わない事。
物語には起承転結が必要なように
人に理解出来ない結末は
いつまでも解答がないテスト結果と同じ。
謎しか残りません。
これを読んでくれた皆様
予知夢だと思いますか?
はたまた念だと思いますか?
ちなみにケーキは食べれず、私の誕生日は永遠に祖父の命日になりました。