EP2.テープレコーダー【寺生まれのTさんシリーズ】

ある男がひとりで登山に出かけたまま行方不明になった。
捜索隊が結成され山狩りが行われたが見つかったのは
男の物と思われる荷物だけだった

そのなかには、テープレコーダーがあった。
テープには大声で助けを求める、男の声が録音されていた。
男はどうやら何かけがをして、動けなくなったらしかった。
テープことはマスコミにも公表されたが、遺族も警察関係者も
公表をひかえていた部分があった。
そのテープには助けを求めるメッセージとは違うものも録音されていた。

何かに非常におびえた男の声だった。
どうやら夜に何かがおこっているようだった。
男は必死にテープにむかって口述している。

一日目

「夜になると人の声がする・・・
呼ぶ声がする・・・
こんな夜中に誰もいないところに・・・
だれもいないのに・・・」

二日目

「たすけて・・・
声がする。
夜になるとあいつがやってくる・・・
暗闇から呼んでいる・・・
昨日より近くなっている・・・
おそろしいよ・・・
おねがい、たすけて・・・
とてもこわい、とても・・・
だれかたすけて・・・」

三日目

「近くまで来ている・・・
たすけて・・・
人が・・・ヒッ・・・
?
?こわい・・
近くまで来ている・・・
おねがい、たすけて・・・
おねがい、おねがい
よぶ・だれも・・・
ひ・あいつ・・ちか・・・・こわいよ・・たす
すぐそばまで・・たすけ・
こえが・・・
おねがい、・・た・・・・て」

こうしてテープはそこで切れている。

それ以後、男はテープに何も録音していない。
警察はこのテープをくわしく分析した。
テープはずっとその男の声だけで、
他の怪しい物音は入っていなかった。

しかし、三日目のテープが最後に切れるところで、
これまでとは違う音が録音されていた。
そのことに関して、分析家も理解不能だった。
それは、遭難した男の声とは違う、別の人間の声だった。

レコーダーのすぐそばで発せられている。
耳元でささやかれたかのように、はっきりと。

「破ァッ!! 」

ちょうど山に山菜を取りにきていたTさんの声だった。
そのすぐ後遭難した男性を背負いTさんは山から降りてきた
「低級霊が集まってきてたが山の神と直々に話をつけてきた。
人間がよりつきさえしなけりゃもう襲ってはこないぜ。
ま、お蔭でとった山菜は全部お供え物になっちまったがな」

土まみれになりながらもさわやかに笑うTさんを見て寺生まれってスゴイ、改めて思った。

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