本日突然に国分に進出、明日を期して出撃します。名古屋空(海軍航空隊基地)より転出の途中、本城の上を高度2000メートルにて通過しました。
感無量でした。敵来襲の頻化と皇国防衛に25年の運命を賭して立派に武士の子として戦ってきます。今更に残して置くべき事もありません。唯慈愛深き御両親に今日まで正明何等御恩に報ずる事なく唯々残念に思い居ります。25才(昔は数え年)の今日まで何不自由なく、今此処に光栄ある攻撃隊の中堅将校として、参加し得るの日を得さしめ下されし御両親様他皆々様の御養育、限りなく身に沁みます。
明日の出撃は勿論生還は期し得ません。然し心中誠に静なるものがあります。正明は皇国護衛の前堤として満足してニッコリと散っていきます。
国分農学校の当直室でこの書を進めつつも、本城の家に帰っているような気がします。今夜の星は又特に美しく、御両親の面影が目前にちらつきます。桜花爛漫と咲き誇る南国の空を飛び立って、小生の故郷鹿児島を出撃の第一戦と為し得たる事は、何にも代え難く嬉しきことです。
正明、桜花咲く靖国の社、智三人(ちさと)兄上の許に、そして親友松本峯一の居るところに一足先に征きます。御父様御母様正明亡き後も何卒力落とさずに元気に暮らして行って下さい。
御両親の悲しみは小生にとって最も苦しいことです。正明は満足です。
神風特攻、第一草薙隊。昭和20年4月29日、南西諸島にて戦死。24才