黒髪山、あぁこれは日光の男体山のことですがね、霞がかかっていましたが、残雪がまだ白く残っています。
まずは旅の連れの曾良の歌を聞いて下さい。
剃り捨てて 黒髪山に 衣更(ころもがえ) 曾良
なんて歌を詠んでいましたよ。
ちょっと解説しましょうかねぇ。
曾良は姓は河合氏で、名前を惣五郎(そうごろう)と言うんですな。芭蕉庵の近くに家があって、労を惜しまずに私の身の回りの世話の手伝いをしてくれているんです。
今回、ともに旅をし、松島・象潟(きさかた)の景色を一緒に眺められることを喜んでいて、私の長旅の苦労を少しでも減らそうと同行してくれた。
彼は旅に出発する日の朝、頭を丸めて、墨染めの僧衣に着替え、惣五という名前を僧侶らしい宗悟という漢字に改めた。こんな事情から、曾良は黒髪山の句を詠んだんでしょうなぁ。『衣更』の二文字には、旅への覚悟・気力がにじみ出ており、本当に力づよく聞こえました。
黒髪山の話に戻って、社から200メートルほど上に登ると、滝がある。この水は岩の洞穴の頂から流れ出ており、多くの岩に囲まれた青い滝壺へと落ちている。岩の洞穴に身をかがめて入ってみると、滝の裏側から落水を見ることができ、これを『裏見の滝』と呼んでいるそうな。
しばらくは 滝にこもるや 夏(げ)の初め
え?意味がわからない?
では、わかりやすいように現代語でお話ししましょうかな。
「しばらくの間この洞窟にこもって滝の裏を見ていると、僧の夏籠りの修行の始まりの様で心身が引きしまる思いがするなぁ」