「おっぱい」小川未明
赤ちゃんが、おかあさんの おっぱいを すぱすぱと のんで いました。そばで みて いた つね子ちゃんは、 「おいしそうね。」 と いいました。 「おまえも こう して のんだのですよ。」 と、おかあさ […]
赤ちゃんが、おかあさんの おっぱいを すぱすぱと のんで いました。そばで みて いた つね子ちゃんは、 「おいしそうね。」 と いいました。 「おまえも こう して のんだのですよ。」 と、おかあさ […]
ポッカリ月が出ましたら、 舟を浮べて出掛けましょう。 波はヒタヒタ打つでしょう、 風も少しはあるでしょう。 沖に出たらば暗いでしょう、 櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音(ね)は 昵懇(ちか)しいも […]
月夜の晩に、ボタンが一つ 波打際(なみうちぎわ)に、落ちていた。 それを拾って、役立てようと 僕は思ったわけでもないが なぜだかそれを捨てるに忍(しの)びず 僕はそれを、袂たもとに入れた。 月夜の晩に […]
汚れっちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れっちまった悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる 汚れっちまった悲しみは たとえば狐の革裘(かわごろも) 汚れっちまった悲しみは 小雪のかかってちぢこまる […]
鋼のように澄みわたる大空のまん中で 月がすすり泣いている。 ………けがらわしい地球の陰影が 自分の顔にうつるとて………… それを大勢の人間から見られるとて………… …………身ぶるいして嫌がっている。 […]
幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風(しっぷう)吹きました 幾時代かがありまして 今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り 今夜此処での一と殷盛り サーカス小 […]
小学生のころ、 俺の家族は青森の海沿いの田舎に住んでいた。 俺は幼い頃からよく浜で遊んでいたんだが、 年末の1週間(5日くらいだったかも)は、 夕方に浜で遊ぶのは禁止されていた。 だが、小学3年の大晦 […]
7がつ5にち きょう、はじめてかていかをならった。 ケンちゃんは 「かていかはおんなのかもく!」 といってせんせいにおこられた。 せんせいは 「いまは だんしもさいほうやおりょうりができないと いけな […]
「404号室を借りたいのだが・・・・」 そのおかしな奴は言った。 妙な注文を出す奴はよくいるが、こいつはその中でも注文も外見も飛びきり風変わりだった。 顔は浅黒くて、背はひょろんとしている。声は無理や […]
小学校4年生の夏休みのことで、今でもよく覚えてる。 川と古墳の堀をつないでる細い用水路があって、そこで一人で鮒釣りをしてたんだ。 3時頃から始めたんだけど、いつになくたくさん釣れるので面白くてやめられ […]