お化け屋敷

地元にある遊園地に家族で出かける事になったある日。

その遊園地は郊外にあり、かなりの広さを有していて年数もかなり経過している為か
見た目は綺麗なのだが
細部には時間の経過を感じさせる古さがある。
しかし、その古さが良かったりするのが風情なのかもしれない。

当時は私は小学4年くらいだったと思う。
はっきりしないのは毎年訪れていたせいだろう。
記憶の悪戯が邪魔をする。

半日程、色々な遊具で遊び
大半を周り尽くした頃

親戚の叔母がお化け屋敷に行こうと私を引っ張って行った。
当の私はよく幽霊に遭遇していたもののお化け屋敷はちょっと苦手。
わざと怖がらせる手法に慣れないのだ。

遊園地の一番奥に位置するそのお化け屋敷は古風な佇まいながら電動の4人乗りのカートに乗り進むタイプ。

前側に姉、従弟
後ろ側に私、叔母
で乗り込んだ。

カートは結構狭く隣同士肩や足が触れる広さしかなく
簡易な安全ベルトがあるだけだ。

機械の軋む音。おどろおどろしい効果音。驚かせる為の小道具達。
それなりに雰囲気もあり中々楽しむ事が出来る。
怖すぎず、楽し過ぎずいいお化け屋敷だ。

そろそろ終盤だろう
カートごと扉を押し開け
真っ暗な部屋に来た。
真っ暗で音がないと途端に怖くなる。
隣で叔母が
怖い!怖い!と私の肩に頭を着けてきた。

すると殆んど隙間なんてない足下に誰かがうずくまっている。

私の足下にだ…………

私の肩に頭を着けているのは叔母である。

では、誰がいるのだろう?

声も出ず暗闇の中
足下のそれを凝視した。
そして真横を見る事が怖くてならなかった。

叔母は足下か真横か…
明らかにどちらかは叔母ではないのだから…

じわりじわりと進むカート
に合わせるように
その足下にいる何かも
じわりじわりと頭を上げて来た。

怖い!

と思った瞬間

大音量と共にカートは外へと飛び出した。

明るい野外へと出た瞬間

私の隣で叔母が

『あーー最後怖かったねー』

と、私の顔を覗き込んだ。

『梅ちゃん、怖くて私の足下にしゃがんでたでしょ!』

この体験以降
お化け屋敷は歩くタイプしかムリになった。

 

 

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