今はスマホは誰でも持ってる。身近で無くてはならいものになっているだろう。
私も今この話をスマホで書いている。
今から20年くらい前の話。
ある日を境に
知らない番号から何度も着信があった。
あまりに何度も掛かってくるから
思いきって出たわけ。
すると聞き覚えがある声がした。
高校の時の先輩だった。
謝りつつも昔話や近況報告なんかして15分くらい話した。
近いうちに飲みましょうよ
と私が言うと、先輩の声から張りがなくなった。で、先輩がね
『俺、飲めないわ。今入院しててさ』
と、昔からスポーツ万能で体が強かった人だから、てっきり怪我か何かで入院したのかと思い
じゃ退院したら快気祝いしましょうよ
と言って電話を切った。
そんな電話から3ヶ月くらいたった頃
先輩から電話きた。
おっ!退院したのかなーって明るく電話に出たわけ。
すると電話口から
『健太の母です』
と思いがけない声に一瞬戸惑った。先輩のお母さんは続けた。
『健太と仲良くして頂いた方に連絡をしています。健太が昨日亡くなりました。』
何かの冗談か?ドッキリ?行きなり過ぎて
『え?本当にお母さんですか?冗談ですよね?』
としか言葉が出てこなった。
話を聞くと先輩は重度の肝硬変を患い入院、余命宣告されていたとの事。
私が話した時には既に手の施しようがなかったそうだ。
葬式には昔の仲間や先輩後輩みんな集まってしっかり送り出してあげた。
それから6ヵ月後
私の携帯に先輩の番号から着信があった。
一呼吸置いて通話ボタンを押した。
『あっ梅ちゃん!あたしあたし』
とこれまた聞き覚えがある女性の声
『携帯買い替えたからこれ新しい番号ね』
と、職場の同僚からだった。
頭が混乱した。
亡くなった先輩の番号を同僚が振り当てられたのだが、さすがに後味が悪い。
そして、その同僚が半年後に交通事故で亡くなった。居眠り運転で前のトラックに突っ込む形で即死だった。
ただの偶然だろう。番号の繋がりはこの時までは考えてもいなかった。
同僚の死から半年後にまた私の携帯に着信があった。
私はまただ…またあの番号からだ…
恐る恐る電話に出た。
電話の主は直接の知り合いではなかった。
私の友人の彼女からだった。
なぜか私と話したかったと言う彼女。
私は思いきって聞いてみた。
『最近携帯買い換えましたか?』
と、するとつい3週間前に替えたよと言われた。
正直、嫌な予感しかなかった。私は彼女にこの番号に纏わる話をした。
でも、笑い飛ばされてしまった。偶然だと。
この時代は携帯普及が劇的に上がり番号不足で10桁だったのが11桁に変わり
割り当てる番号も一定期間を置いたら再配されていた。
こんな背景もあり、この番号の話は消えていった。
しかし、またもやその彼女は友人と別れたのち首を吊って亡くなっていた。
結婚が破談になった事が原因だと聞いた。
三度も続いた同じ番号の持ち主の死。
私は怖くなり自らも番号を替えた。
今はもうあの番号から着信はないのだが、未だに知らない番号から着信があると怖い。