父上様母上様、これが最後の御知らせとなりました。想えば23年間御心配かけまして本当に申し訳御座いませんでした。今になってなんらの孝行もしませずに来ましたことが、大河の水の如く胸に沁みて来ます。然し私は男でした。今迄何のために父母が養って下さったか、それは日本男子として、恥じざる男となる様にそれが私への望みであったろうと思います。沖縄の戦友は必死です。又大東亜戦争はこの一戦に決すべき難局に面しました。この戦(いくさ)日本の興亡、昔の武士我等一人一人の死、否、必勝の信念が勝利の信念の一段になることは、男としてこれ程本懐とすること他にないと思います。
七生報国、身は東海に朽ちても魂は決して死せず、今更何も申し上げることは御座いません。「唯白」で死にたいです。五月十日誕生日です。明五月十一日私は征きます。
生まれて死す、世界万物の本性ですが生と死が一日違いで来るのが、面白いではないでしょうか。来年誕生日が来たら、私の新しく生まれた時がその翌日だったと思ってください。私は最後まで愉快に征きます。必ずや日本の仇は討ちます。特別攻撃隊神剣隊です。五月十一日が私の死と思って下さい。今、十日の夜九時です。明日二時半起床です。では父上様母上様御元気で御多福を御祈りして遠き処より守っています。さようなら。
兄上ほか姉様弟妹たちよ、元気で日本人として立派に暮らして下さい。思い出は数々ありましたが、しかし何を言っても唯有り難うの一言に尽きます。忠邦も特攻隊として日本の国に手を掛けんとする敵を滅ぼしに征きます。男の最大の奉公です。身は砕けても心は、精神は永久に生きます。本当に長い間有り難う御座いました。もう時間は残り少ないのです。最後の言葉として、父母様に孝行して下さいの一言です。私の為に。
神風特攻・神剣隊、昭和20年5月11日、南西諸島にて戦死。22才。

