彷徨う者

それは佐賀県のとある田舎。
大会の帰りに友人と息子、私と私の娘の4人で福岡へ帰る時のお話。
夕食を近くのファミレスで済ませ
時刻は間もなく19時。
あたりはもう闇に包み込まれて
真っ暗になっていた。

友人は佐賀県出身の方なので
土地勘があり必要ないが
念のためカーナビで高速インターを表示させ出発。
そのファミレスからは5分掛からないとアナウンスされた。

不意に
『次の交差点を右折』とカーナビが告げる。
友人は
『んー…こっちじゃないと思うんやけど…』
と言いながら
カーナビの指示に従い右折をすると

急に前方に
『この先車両乗り入れ禁止』

の立て看板。その看板の下に
※8t以下は通行可
の文字がある為、ゆっくりとその一本道に滑り込んだ。
街灯がない田舎道の為か
突然左手に2メートル程の小さな鳥居が現れた。
車内で子供達が

『ちっちゃい鳥居』

と爆笑していた。
その時まではなんてない事だった。

真っ暗な一本道を走る事
10分
人家はポツポツと見当たるが
電気もついてなく
まるで人の気配を感じない。

友人が私に
『なんか道違うと思う、ちょっとスマホで○○インターって検索して』

と、ちょっとイライラしたように告げた。
直ぐ様、検索をするが
何故かその名前のインターが表示されず、違う名前のインターが写し出される。

一旦、車を停め二人で検索をするも結果は同じ。
この時点で皆、何かがおかしいと感じ始めていた。

友人が
『とりあえず大きな道に出よう』
とカーナビを無視し道を進む事に

街灯のない一本道をクネクネと進んだ。
すると次は右側に先程の鳥居より一回り大きな鳥居が現れた。

『また鳥居じゃん…神社とか見えないよね?』

と話ながら車は進む。

次第に道は山に向かって登り始めていた。
道幅も狭いためUターンする場所が無い。またしばし道なりに進む。

街灯もない田舎の道を
ただ道なりに進んで行くと
目の前に大きな鳥居が現れた。
直進しかない道の先に
大きな鳥居が構えている。
次第に車中で

『導かれてるみたいじゃない?』

と声が漏れた。
ふと
今まで車1台、人一人として見ていない事に気づいた。
大きな鳥居を前に
山の上を見ると神社のような物が見え明々と灯りが灯されている。
道はそこに向かっているように思えた。無言で見上げる私に
ハンドルを握る友人が

『怖すぎる…来た道を戻ろう。最初のファミレスに戻ろう。あそこからおかしくなった気がする。梅ちゃん何連れてきた?』

と。さすがに冗談で返す事は出来なかった。少し走ると路側帯があり、そこでUターン出来た。

私は直ぐに先程まで居た
ファミレスを検索する

ここから7分と表示された。

来た道をただ戻るだけなのに
なぜか景色が変わってるように思えた。
しばらく走ると大きな通りに出ることが出来た。
ファミレスは直進するだけだった。
すると右手側に最初の小さな鳥居と工事中の看板が見えた。

その周りを赤いランプが不気味に点滅していた。

ファミレスの駐車場で
○○インターを検索すると
簡単に表示され
ここからたったの5分だと表示されていた。
ふいに友人が

『どれくらい迷ってた?』

私は時計を見て

『今19:39だよ』

私達の感覚では15分程度迷ってた感覚だったが
実際は30分以上彷徨っていたことになる。

そしてあの鳥居について
調べみるがまったく出てこない。
一番大きな鳥居の周りにお土産屋らしい羊羮店が数店舗あったが
どれも古びていてシャッターが降りていた。
コロナ渦でもあるので
不思議には感じなかったが
よくよく考えると今は何の規制もかかってはいない。店が全て固く閉じていた。

まるで導かれるように
山頂の神社に行っていたらどうなっていたのか…

なぜ大中小の鳥居が次々眼下に現れたのか
まったくわからないまま
不思議な空間を彷徨っていたのかもしれない。

帰宅後、別の佐賀県の友人に今の話をすると

『そんな神社知らないな…?もしかして○○交差点?そこから右なら○○○遺跡に繋がる道だと思うよ。何かに呪われた?ってかさ、導かれてた?その神社に行ってたらどうなってたんだろうね…』

と淡々と言われた。
私達は一体何導かれどこに向かおうとしていたのか…
本当に不可思議な佐賀の夜になった。

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